「ケツ触んないで下さい」
「減るモンじゃないだろうが、あん?」
「減ります。俺の中の何かが減ります」
「俺とお前の仲じゃねぇか」
「そういう問題じゃないでしょ…ヒッ!」
追い払っても叩き落としても抓っても一向に諦める様子のない手は、ソファに腰を落ち着けている森田の尻の下に潜り込み、鷲掴んでもみもみと揉みしだく。
これで女ならばまだ判るのだが、生憎ながら森田は男であるし、平井は尻を揉んで何が楽しいのか、放置するといつまでも揉んでいる。
それが酒が入っているとか、打ち上げの席での冗談ならば交わしようもあるのだが、森田の尻を揉む平井の顔はこれ以上なく真剣だ。
だからと言って何も考えていないわけではなく、考えているからこその無表情なのだが、視線の先が尻となれば気にもなる。
森田とてただ揉まれているだけではなく、一度先輩方に相談もしたのだが、それがお前に関係あるのかだとか、アイツの尻は俺のものだなどとのたまってくれたせいで、逆に居た堪れなくなってしまった次第である。
余りに真剣な顔で尻を撫でるもので、何を考えているのか聞いたところ、簡潔に『尻』と答えてくれたことは全く嬉しくない思い出として記憶にも新しい。
それに最近は風呂に入って体を洗う度に思うのだが、尻が柔らかくなったような気さえするのだ。男の尻が柔らかいなんて気持ち悪いだけだろうに。
「はぁ……」
「溜息をつくと幸せが逃げて行くぞ」
「誰のせいですか。だから尻は止めて下さい。…尻を揉むなら若いお姉ちゃんが沢山いる所にでも行ったらどうですか」
森田の発言に平井ははぁ…、とあからさまな溜息を吐いてみせる。
何なんだ。間違ったことは言っていないだろう。
森田のものよりも若いお姉ちゃん達の方が肉も柔らかいし、平井のような、見た目だけならばロマンスグレーにならば喜んで尻を差し出す女もいるかもしれない。
……そして何より、森田の心労が減る。何気にこれが一番大事なポイントだ。
「判ってねぇなお前は…」
平井は頭を振ると、大仰な仕草で森田の尻から手を離した。
そして森田の顔をチラリと見ると、再び尻に目を落とす。
「お前の尻が良いんだよ…俺は…」
相変わらず森田の尻を見つめたまま、頬を僅かにピンクに染める平井に何が言えるだろうか。
取り敢えず、パワハラと精神的ブリクラに、森田の脳内に引退の文字が過ぎったことだけは間違いなかった。
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銀王が病気^^
そして全力ですいませんでした。