俺の持ち物?”コレ”だけだよ。


※この話は若銀×初老森田です。幸鉄要素も含みます。
苦手な方はバックっ…!生きる為にバックっ…!






「ねぇ、森田さん」

 胡乱げに目を向ければ、ソファで寛いでいる飼い犬が一匹。
 しかし犬とは勿論比喩で、正しくは最近拾った生意気なクソガキ様だ。とある縁で拾ってから妙に懐かれてしまった。
 住むところはあるかと聞けば、無いとの一言。ならお前は何処で暮らしていたのかと問い詰めても何処吹く風。
 けれど川田に調べさせても平井の現在の居所は掴めず、森田に拾われるまでの経歴などは一切不明。住民票すら見付からず、学生生活を営んでいた気配もなし。
 一体どうやって今まで暮らしてきたのか、考えるだけ無駄な気がして思考も途中で放棄した。
 けれど森田が就いている家業が家業だ、身代が判らない青年を仕事に加えることはできない。
 そうしてだが拾った青年、名を平井銀二と言うが、森田はこの青年を追い出すことには未だ成功には至らず。
 お陰で調子に乗った青年は、時に生活費と称した出所不明の大金を持ち込んで、今日も森田のアパートに居座り続けている。

「これどう思う? ちゃんと森田さんの名前と住所入れて作ったんだけど」

「お前な…」

 銀色のプレートが瑞々しい肌を見せる青年の掌でちゃりりと鳴る。

「プラチナで特注。俺の、世界に一つだけのドッグタグ。飼い主の住所を入れるのは当たり前でしょ?」

 ボールチェーンの先に繋げられた銀色をちろりと赤い舌が這う。
 相変わらず趣味が悪いとしか言いようがない。何せ、森田が見ているのを判っててやる意地の悪さだ。
 呆れられるのを見越して、その上で森田が視線を離せないことを判っていてやるのだ。

「どこかで落として誰かに拾われたりしたらどうする」

「…俺がそんなしょうもない真似するとでも?」

 ああ言えばこう言う。青年はふふんと鼻で笑って、顔が良いだけにそれがまた腹が立つ。
 森田が知らん振りをすれば、いつもはすぐに興味を失うのだが、今回のそれには森田の名前と住所も入っているから、無視し続けることもできない。
 表では知らない人の方が多いが、裏では森田の名はそれなりに通っている。命を狙われた事も一度や二度ではない。
 彼らの対策で居所は転々としているが、ここは都会の喧騒から程よく遠く、気に入っている隠れ家の一つである。それなのに住所をばらされてはたまらない。またあの引越しというややこしい作業と、この住み慣れた家との別れがあると思うだけで憂鬱だ。
 それは、御免だ。

「生憎と、俺は躾の出来ていない犬はお断りでな」

「でも好きでしょ、そんな躾のできていない犬を躾けるの」

 いやに断定的な口調で言われて、森田が言葉に詰まる。

「あの何とかって白髪の男も随分懐かせてたじゃない」

「白髪…幸のことか?」

「知らない」

「あのなぁ…幸は懐くとかそんなんじゃないだろ。仕事仲間だし」

「仕事仲間ねぇ…でもそれにしては、あの人森田さんにベタベタしすぎ」

「ベタベタって、普通だろ」

「普通でキスなんてしない」

「お、まっ」

「この前、してたでしょ。俺が寝てると思って、ここで」

 ああそうだ。確かにした。
 森田が仕事から帰ってくると青年は待ち疲れたのかソファで寝ていて、そして平山に仕掛けられてそれに答えた。
 森田を好きだなんだと世迷い事を吐き続けている青年のことだから、見られても蔑視されるなどという心配はしない。
 だが、見られて困る、そう思う自分もいた。それが一般的に罪悪感と呼ばれるものなのかは判らない。
 けれど、森田は見せたくなかった。平山に迫られて弱いけれど抵抗もした。
 …結局は受け入れたから同じことなのだろうけれど。

「飼い主はちゃんと飼い犬の事を見とかなきゃ」

 ねぇ森田さん。
 そうやって首から下げたドッグタグを見せ付けてくる駄犬に、今まで怠っていた躾をしないといけないなと、ぼんやりと思った。


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おこさん所の字茶で私が萌えた若銀×老森田。テーマは「ドッグタグを舐める若銀」
自分ロムった所が最後辺りだったので、かなり好き勝手しました…申し訳有りません…そしてなつらるに幸鉄も入れてしまいました。完全に私の趣味です。誰得すぎるだろ。
ちなみに森田の仲間は川田と幸雄です。ライバルは西条。もう俺得でも構わない。俺得上等だっ…!