※ポーカーで西条に負けた森田のIF設定。僅かに実写のネタバレ有。
負けた、のだ。森田は全てを失った。去ってゆく安田と船田の目が忘れられない。そして撤収していった仲間に、裏切られた気分になる。
泣きそうになって森田はぐっと唇を噛んだ。
ここで涙を見せても喜ぶのは西条だ。だとすれば余計に涙は見せられない。そう思って森田は己を捕らえる西条を睨みつける。
「そんな目で見るなよ森田、悪いことをしてる気になるだろ?」
「………ぐっ」
「勝負に負けたのはお前なんだよ。しょうがないよなぁ? 何せ9億勝負だ。それを一晩で返そうと思ったらこれくらいの事をされても当たりまえなんだよ…」
「下衆がっ!」
「おっと、いいのかな? 飼い主様にそんな口を聞いて…」
「うわっ」
西条がチラリと仲間達に視線を走らせば、ぐるりと回る視界。目の前には天井が広がっていた。
「やれ」
「は…? って…!? 止めろ!! 何考えてる!」
西条の言葉に何をするのかと身構えた森田の、こともあろうか男たちは服に掴みかかったのだ。
殴るためではない、脱がせようとする意図が嫌でも感じられた。
「抵抗しても一緒だぜ?」
くくくと笑う西条に構う余裕もない。森田は男たちの手から自分の身を守るので精一杯だ。
だが、1対2。加えて森田には負けたという負い目がある。何を強要されても仕方がないと言う諦めが。
森田の服は容易く剥ぎ取られ、椅子に腰掛ける西条の目の前に引きずり出される。勿論森田の手は後ろで拘束され、隠すものなど何もない。
「いいザマだな森田」
「くそがっ」
西条の仲間以外誰も居ないのだけマシだと思わざるを得ない。
他に誰か居たら、森田は羞恥で舌を噛み切っていたかもしれないからだ。
森田を見下ろしてニヤニヤと笑う西条をギリギリと睨みつけて吐き捨てる。
「殺してやる…!」
しかし森田の恫喝にも西条は首を少し傾げただけだ。その仕草は飼い犬が言う事を聞かなくて困っているとでもいうような僅かなもの。
「困ったな」
困ったと言いながら、全くそのような様子を見せない、それは西条の余裕だった。
「それじゃあ一晩で差額の一千万は返せないぜ?」
「………………ッ」
「10億と少し…あと一千万あったら変わっていたかもな?」
20億と言う手持ちの金を持っていた西条が哂う。
森田の手持ちをどうやって知ったかなど聞くだけ無駄だ。それを知って西条達は勝負に出たのだから。
「ほら、舐めろよ森田。一舐め10万だ。破格だろう?」
はははと哂う西条に、森田は瞼に映る影を追いやって静かに目を閉じた。
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『一巡目に西を切るな!』のおこさんが萌えを投げはったんです…萌えるしかないだろ…。
しかもおこさんったら、この話の続きで『暗い夜に一人で』を書いて下さった…!
何という僥倖っ…! 萌えっ…! 皆早く読みに行くんだ…!